内定と仕事について
本学院の学生の中に、内定が決まった者も増えてきました。内定とは企業と個人の間で取りきめられる就職のための約束のことを指します。これは社会 人としての第一歩と考えられます。ですが最近この約束が破られることが多々あります。就職辞退と内定取り消しといったものです。辞退の例として個人の体調 不良による就職辞退があげられます。また企業であれば会社の運営状況が悪化し、新入社員を受け入れられなくなったための内定取り消しなどがあげられます。
これらは他人事ではありません。仮に本学院の学生が小さな動物病院で内定を頂いたとして12月前後に就職を辞退したならば、大変相手側に迷惑がかかります。なぜなら優秀な人材は8月までに内定が決まっており、12月では欲しい人材を確保できないからです。
先ほど述べたように内定を頂くということは社会人の第一歩ですので、社会人となる身として内定辞退はしないようにしてください。
ですが仮に自分が約束を守っても会社側から内定を取り消しされることがあります。最近ある企業が経営悪化を理由に新卒者の内定をほとんど取り消すと いう事件がありました。これは社会問題となり、会社側は学生に対して1人あたり50万円もの慰謝料を支払うこととなりました。しかし、たった50万円では 保障にはなりません。なぜなら内定を取り消されたのが12月前後であったため、ほとんどの企業が内定を出しきって新たに求人を出すということがなかったか らです。テレビのニュースでコメントする多くの学生は憤りを隠せずにいました。しかし、1人だけとても興味深いコメントをしている学生がいました。それは
「内定を取り消してもらい50万円までもらって運が良かった。入社してから倒産されたらそれこそ大変です。」
という視点の違うコメントでした。こんな学生こそとりこぼしてはいけないと私は考えます。
視点と言えば、みなさんは就職にあたって週休2日や残業手当は出るのかといったことを気にすると思います。それは自分主体の考え方です。企業に売り込むのであれば私を雇わないと損ですよ、私は有望ですよといった具合に企業主体の視点で考えることが大切です。
しかし、だからといって最初から給与に見合った仕事をしようとは思わなくていいのです。なぜならトリマーなど技術職者は経験を積んで一人前になっ ていくものだからです。雇った側も最初のおよそ1年は育てることを前提に給与を与えています。そして1年経った頃から給与に見合った仕事をしてもらおうと 考えています。つまりその与えられた時間を大切にして、技術を磨いていってほしいのです。育てるつもりで雇っているとは言いましたが、やはり時間を与えて も給与に見合った仕事ができなければ、厳しいようですが雇ってもらえなくなります。これから社会人になっていくみなさんは覚えておいてください。