財産となる仲間

私が動物関連の仕事を始めてからもう20年以上経ちます。

もともと、鹿児島生まれの鹿児島育ちで、小学生になってから熊本に来ました。

熊本はとても郷土愛が強いところで、熊本弁を話せないとなかなか受け入れてもらえない。それまで割に話し好きで活発なほうだったけれども、そんな理由でおとなしくなってしまいました。

 

だんだん熊本弁を覚えて、中学、高校ではお喋りな人気者に戻ったのですが、今度は東京の大学に行くと熊本弁丸出しだと馬鹿にされる。かなりショックな出来事でした。話すのがつらくなってきていつもの自分でなくなるというか、だんだん自信もなくなってくるんですね。

 

一年ほど人と話すことに対し、抵抗がありました。今、私はほとんど共通語ですが時々熊本弁を使うと、「似合わない」と言われたりします。言葉というのは人のイメージを左右するもので、言葉を馬鹿にされると、人格まで否定されたような気がするものです。

 

大学に通うのも面白くなくなり、休みがちになったりもしました。 そんなつらい状況でもなぜ辞めなかったか?

それは、獣医師になるという目標があったからです。大学に行くと獣医師になるという共通の目的を持った仲間がいる。その時コミュニケーションをとり あった仲間とは今でもつながりがあります。今このクラス全員は、共通の目的を持った仲間です。一緒に学院で学んでいずれは動物業界に就職していく。2、3 年もすると、ポジションが高くなってやがて後輩や部下ができたり、社員ができたり、店長や経営者になって社員が出来る人も出てくるでしょう。卒業生にはす でに店長になった人も数名います。そういう先輩を頼って訪問してみてもよいと思います。熊本内外でこのつながりというのは、みなさんの財産なのです。  「トリミングが上手な人を紹介して」とお客さんから言われればトリマーになった仲間に連絡を取ればいいし、「ドッグランについて知りたい」と思えばドッグ ランに就職した仲間に電話をすればいい。つながっていれば、自分のアイテムとして活用できるのです。

 

私にも全国各地に獣医師の仲間がたくさんいますが、いつでも話ができる私の財産となっています。 今までペット業界の人たちはつながりが弱い傾向に ありましたが、これからの時代、横の連携、コミュニケーションがとても大事になってきます。皆さんの今、となりに座っている人が将来助けあえる大事な人に なるかもしれません。卒業してもOB会、同窓会などでつながりをもっておくと良いと思います。学生の今からそれぞれの本音をぶつけて、時には言いあってで もコミュニケーションを取っておいてください。

いつかきっと皆さんのつながりが役に立つときが来るでしょう。自分の財産としてしっかり役立てて下さい。