夢をリアルに思うということ

皆さんは小さい頃から大人になったら何になりたいか、と聞かれていると思います。中学・高校でも将来何になるかと聞かれて、学院に来ても色々と聞か れているでしょう。
夢を自分なりにイメージを確立させて行動していると、将来大きな差になって現れてきます。私は小さい頃にはもう、獣医師になるとしか 思っていなかった。
病気の犬をみれば治したいと思うし、日常の行動まですべてがその方向に動く。夢を持って動けば必ずその道がまっすぐ開けていくもので す。
迷いがないのですから、その道を進むだけです。この学校に来たからには、動物業界に進む人も多いと思います。皆さん、何になりたいかと問われたとき に、これになりたいといえますか? もし神様が目の前に現れて、「何にでもしてあげるから、何になりたいか」と聞かれたら何になりたいですか?今の状況など一切考えなくて、自由に考えてみて ください。

 

 何にでもなれるのだったら、歌手になりたいと考える人もいるかもしれません。
それでは歌手になればいいのに“でもスタイルが悪いから”“美人じゃ ないし”などマイナス要因を考え始める。
なりたいと思っても“自分には無理だ”とブレーキをかけてしまう。なりたいと思ったら、その気持ちをコントロール することが夢の実現の第一歩になります。

なるだけリアルな夢を描くようにしてください。小学生のとき、私は鉗子を買ってみたのですよ。
先々これを使いこな せるようにならなければ、という思いからでした。道具を揃えてみると、その気になってくるものです。
動物看護師になりたければ、なるべくイメージを膨らま せて努力をすることが大事です。そうして行動をすると、一日一日が違ったものになってくるはずです。
その気になってやっていれば、頭の中は現実か夢か分か らなくなってきます。

 

 アメリカの演劇学校で、50人ほどの生徒を囚人役と看守役に分けて1ヶ月に渡って演じるという実験を行ったことがあります。
長い時間閉鎖された空 間で、看守役は囚人役の生徒を本当に悪い人間だと考えるようになり、囚人役を蔑むようになりました。また、囚人役を演じたほうは、自分が本当に殺人を犯し たのだと思い悩み始めて、自殺を考えるほどになりました。そして当初1ヶ月の予定だった実験は、これ以上は危険だと1週間で打ち切られることになったそう です。演じることが真実になってしまうのですね。

将来看護師として働いている姿を想像し演じていると、それなりの姿になってきます。夢をリアルに思うということはとても重要です。昔の人は、“流れ 星に願い事をすると叶う”といったものですが、その意味の裏は、流れ星が流れる一瞬の間でも願いを訴えることができるか、常に思いを抱いているかというこ とです。考えなくても“動物看護師になりたい”“訓練士になりたい”“トリマーになりたい”と言えるようになってください。朝起きて、きつい、面倒だと考 えると、体も反応して本当にきつくなります。今日一日楽しみだと考えると、体も楽になってきます。気持ちによって、将来も変わってきます。自分を前向きに コントロールすることを考えてみてください。