動物の生涯を受け止めるということ

犬を飼っている人、または猫を飼育している人は数限りなくいらっしゃいますが、
今日本では、14歳以下の子どもの数よりペットの総数が上回っているそうです。すごいことですね。皆さんもいずれ独立した時、自分の責任でペットと共に暮す時がくるかも知れません。では、その犬猫の飼育には、年間でどのくらいの費用がかかるのかご存知ですか?

 実際に計算してみましょうか。例えば食餌ですね。病院で購入する場合、通常犬種の1ヶ月食べきりサイズで1,500円~2,000円。12ヶ月で最大 24,000円ですね。予防接種が8,000円~10,000円、狂犬病が3,000円。ワクチンは10,000円でフィラリア予防は1回が1,000 円~2,000円として12ヶ月でこれもマックス24,000円。ざっとこのくらいの飼育管理費用が発生するとして、年間で約70,000円になります。
犬の生涯が15年として計算すると、生涯飼養管理費用が犬で約80万円、猫で約
50万円(*個体差はあります)かかることになります。プラス健康を害した時や事故などに遭遇した時のアクシデント発生時に必要な臨時費用は、もちろん別途かかります。どうですか?きちんとした飼育管理をすれば、これだけの飼育費用が発生するのです。

 こうして改めて考えますと、費用の問題もさることながら、家族としてきちんとしたかかわりを持つためには当然時間的余裕も必要です。癒し・癒される関係 であれば、心の余裕も必要になる。一時的ではなく、動物を終生面倒見ようと思ったら、物心両面できちんと自立していなければ、決して簡単なことではないと わかって頂けたと思います。

 動物病院には飼育のベテランもいれば、「子どもが拾ってきたんです」という理由で飼育を決意したビギナーさんも来院されます。もちろん情操教育の面から 考えても、こうしたシチュエーションで動物との関わりが始まることは悪いことではありません。しかしながら、簡単な事ではないという認識を持って頂くこと が絶対条件です。そのためには、月にして4,000~5,000円かかる飼育費用のこともさることながら、健康・栄養の管理の仕方、家族として共に暮すた めのアドバイスなどなど、ペットライフをできる限り具体的に、よりリアルに指導して差し上げることが大切なのです。

動物と共にある生活は、非常に豊かなものであると思います。お金には変え難い貴重な時間と言えるでしょう。しかし、このような現実をしっかりと受け止め、かわいいだけではなく、大きな責任が伴うのだという現実を認識して頂いてこそです。
さあ、新たな家族を迎えようとしている皆さん・・「新しい家族」を前にして、その認識が生涯続くものであると保障できますか?