愛情表現のカタチ

今日は洋服の話をします。ペットに洋服を着せることは、もう珍しいことではなくなりましたが、皆さんは容認派ですか?それとも「ペットに洋服なんて」という反対派?常に賛否両論巻き起こるのが「洋服論争」。患者さんによく聞かれる質問のトップもこの問題です。

結論から言えば、「どっちでもいい」が正解です。容認派の言い分としては、「暑さ・寒さ予防に」が大半ですが、実はこの「体温調節のために」という言い分に医学的根拠はないのです。
私たち人間は、汗をかくことで体温調節ができているのですが、この汗を調整するのが「汗腺」です。ですから洋服の着脱は有効ですが、動物には汗腺がありま せん。呼吸で体温調節しているのです。洋服を着せたからといって寒さはしのげないし、暑さから身を守っているわけでもない。

ではなぜ「着せるのか」。これはひとえに「飼い主のため」です。
ただし、誤解しないで下さいね。飼い主さんはエゴで着せているのではなく、あくまでも愛情表現なのです。夏の暑い日差しからも、冬の寒さからもペットを 守ってやりたい・・そんな気持ちからなのです。それにやっぱりかわいい洋服を着せたら飼い主さんはうれしい。そんな飼い主さんが「喜んでいる」姿に、ペッ トの方も嬉しくなるのです。これが洋服を着せることの効果です。

 ペットと飼い主の関係はますます密着度を増して、その信頼関係たるや人間を越えている感もあります。手をかければかけるだけ、絆は深くなり、愛情は濃厚 になっていきます。洋服だけではありません。トリミングに香水、アクセサリーにネイルアート。どんどん擬人化していく様相ですが、あくまでも付属品。「何 のために」は理屈で、飼い主さんの愛情表現の最たるものとして考えれば間違いはないでしょう。

 こうした問題に「正解」はありません。飼い主さんの「どっちがいいと思いますか?」という問いかけに対し、私たちにできることは、ペットと飼い主の関係 をよりよくするためのお手伝いです。極論を言えば、医学的にずれさえなければ、「何でもあり」もまた正解です。主義主張はさまざまありますので、そのペア のライフスタイルに応じたアドバイスができれば最高なのです。そのための洋服であり、アクセサリーであれば、きっと何よりも有効な「幸せの架け橋」になり ます。お試しあれ。