一度きりの存在
ペットの寿命は何年か知っていますか?「人生80年」と言われて久しいですが、ペットの生涯はせいぜい15年です。
皆さんはペットの年令に換算すると、 ちょうど1歳くらいだから、ペットの1日は人間の1週間くらいに相当するのだとわかります。
「今日は散歩行かなくていいかな」の一日が、ペットにとっては 一週間家に閉じこもっていたのと同じ感覚なのです。
1~2ヶ月手を抜けば、1年間外に出ないのも同じ。どうですか?「きちんと毎日散歩に連れて行かな きゃ」って気持ちになるでしょう。
こうして一日一日を大切に、楽しい毎日を送ることができれば、ペットの生涯は「悔いのない生涯だった」と言えるでしょう。
いくら天寿をまっとうしようとも、謳歌した思いがなければ幸せじゃない。問題なのは長く生きた時間ではなく、その中身なのです。
例えば私は、生後一年未満のペットを連れた飼い主さんに、「写真をいっぱい撮ってあげて下さい」と勧めます。
生後間もないペットの成長は著しく、15年 の生涯の中でも一番成長する時期なのです。この時を逃さす、写真を撮影したり、時間をかけて遊んであげたり
こうすることがコミュニケーションにもつなが りますし、とても大切な社会性も身につくことにもなる。まさに一石二鳥だと思いませんか?
『太郎はかけがえのない存在です。
それは唯一の存在であり、一回きりの存在です』
これはうちの病院の薬袋の裏面に印刷している一文です。
患者さんの中には、「オスは太郎、メスなら花子」と名前を決めている人もいます。
それから、歴代のペットがずっと同じ名前だという方も珍しくありません。いいとか悪いとかではなく、私はできることなら新しい命には、新しい名前を授けてあげてほしいと思います。
その気持ちを込めたのが、この一文です。
大切なペットがその生涯を終え、大切であればあったほど、次に迎えたペットにも同じ生涯を描いてしまう・・その飼い主さんの思いはよくわかります。
それ でもその子と先代は同じじゃない。どの命も唯一無二の存在なのです。同じ名前であればあるほど、飼い主さんは比較してしまう場合が多くなります。でも待っ て。やっぱり違うのです。
15年の生涯を、「かけがえのない存在」として、「唯一の存在」として大切にすること。そして「一回きりの生涯」を、大好きな飼い主さんと共に生きること。ペットにとってこれに勝る幸せはありません。
そのサポートができるのも、私たちの仕事の醍醐味です。
どうですか?あなたのペット。毎日幸せな顔してますか?
例えば1泊2日の旅行中、ペットホテルに預けたペット。ペットから見たら、大好きな飼い主さんとの再会は、2週間後という計算になるんだっていう感覚はつ かめましたか?
さあ、今日から始めて下さい。ペットの時間に置き換えて考えてみること。どうすることがその時間を共有することになるのか、もうおわかりで すね。